みなさん、こんにちは。
中小企業診断士のトキです。
先日、診断士登録に向けた実務ポイント獲得のため、実務従事を行ってきました。
今回の記事では、実務従事の実体験をご紹介したいと思います。
中小企業診断士資格は、試験合格後、実務ポイント15ポイントを取得することで初めて診断士として登録が可能になります。この実務ポイントを獲得して診断士として登録することで、初めて診断士として活動することができます。
ただし、実務ポイントを獲得する手段である、「実務補習」(診断士協会主催)と「実務従事」(民間企業主催)に関しては、ネット上の情報が非常に少ないのが特徴です。
診断業務を実務として行うので、発信できる内容に限りがあるのは事実です。
とはいえ、実際にどんな感じなの?と気になる方も多いかと思います。そこで、今回は私が先日受けてきた実務従事について実体験をご紹介できればと思います。
実務従事の概要
具体的な会社名は伏せますが、いくつかある候補から内容・コストを踏まえ、実務従事に申し込みました。
申し込みは非常に簡単で、WEBページから実務従事申し込みをクリックして必要事項を入力するだけでした。その後、指定された口座に指定金額を振り込み、完了。
私が行った実務従事の概要は、以下の通りです。
・ある地方中小企業の支援
・内容は、総合経営診断
・日程は1ヶ月〜1.5ヶ月ほど
私が申し込んだ実務従事では、チーム制でした。数名のメンバーでチームを組んで、診断を行うスタイルです。実務従事と同様のアプローチですね。
最終診断報告までのスケジュールとしては、定例会以外の縛りはなく、自由に提案を作っていくことになりました。
定期的にメンバーや指導員役の先輩診断士と打ち合わせを踏まえ、提案書を作り上げていきました。
実務従事で求められるスキルと知識
実務従事に申し込みを考えている試験合格者の皆さんは、実務従事にどのようなスキルや知識が求められるか気になることかと思います。
試験に合格しただけで、実際に診断業務を行ったことがない方にとって、どのようなタスクをこなし、そこでどのようなスキルを発揮する必要があるか知っておきたいですよね。
結論として、「行ったら、なんとかなります。」に尽きます。本当です。
なぜなら、先輩診断士になんでも聞ける環境であり、また優秀なメンバーが周りにいるからです。1人でやるのではない、という点が非常に重要なポイントです。
困ったら周りを頼ったらなんとかなります。周りがいると、自分も頑張れます。ぜひ不安な気持ちは脇に置いて、全力で実務従事に取り組んでもらえると学びが大きいかと思います。
では、求められるスキル・知識について解説します。
リーダーシップ
何よりも求められるものは、リーダーシップです。
仕事と同様、どんな場面でもリーダーシップのあるなしでは、成果も学び・成長も雲底の差が出ます。
どんなに知識があるよりも、自分や周りにリーダーシップがあるかどうかで最終報告の質が大きく変わります。
リーダーシップはさまざまな定義がありますが、要するに「主体的に取り組むこと」だと言えます。自分ごとに捉え、いかに報告先の企業の社長さんに対して価値を提供しようと考え、資料を作ることができるか。
実務従事を受ける方は、みなさん多忙かと思います。仕事が忙しい、出張が多く不規則な生活だ、子供が小さく手がかかる、旅行の予定があるなどなど。
そのような予定の中で、いかに診断先の企業の価値になるような作成物を作れるか。リーダーシップを持って、自分がこの診断先をよくするんだ、そのためには何をしなければいけないか、を本気で考えること。
これが、リーダーシップの定義です。
残念ながら、リーダーシップを発揮できる人材は多くはありません。むしろ、リーダーシップさえ発揮できれば、他者と差別化し、自分の強みにできます。
せっかく実務従事を実施するのであれば、リーダーシップを発揮して、成果も学びも最大化するように心がけましょう。
とは言え、根詰めると大変なので息抜きはほどほどにしましょうね。
王道の診断アプローチ
中小企業診断士が行う業務には、王道のアプローチがあります。
決まったやり方、フォーマットですね。これは知っておいた方が無駄な時間が大幅に削減できます。
王道のアプローチの1つは、資料構成(タスクの内容)です。
診断業務=資料作成です。いかに有益な助言内容を考えても、最後は資料に落とし込む必要があります。
その際、王道の資料構成があります。
1:報告のサマリ
2:現状分析
3:問題・課題
4:施策
以上、4つをこの流れで作っていきます。
1:報告のサマリは資料全体で何を言いたいか、1〜2枚のスライドで表現したものです。
2:現状分析は、外部環境・内部環境の分析結果を提示するパートです。内部環境は、経営戦略・財務状況・マーケティング・生産/調達・人事の5つ。(業種によって入れ替えが必要な場合もあります)
3:現状分析の結果、診断先が抱える重要な問題や課題は何か、ズバリと提言します。
4:施策は、問題・課題を解決するための対応策を提言します。将来のビジョン・将来的な財務シナリオ・それを実現するための具体的な施策で構成されます。
この流れは、コンサルティング有名な「空・雨・傘」と同じ構成です。
まず空を見て、今どうなっているのか把握します。その上で、雨が降りそうだと解釈します。そして、傘という対策を打ちます。同様に診断においても、現状会社や外部環境がどうなっているのか把握した上で、どうなりそうか?を判断します。そして回避・成長するための施策を打ちます。
30点・60点・90点
この理論は、私がコンサルティング業務を行う上でも非常に大切にしている考え方です。
徐々に品質を高めていこうというアプローチで、まずは30点でレビューを受ける、次に60点、最後に90点と段階的に資料作成を行なっていきます。
ポイントは、30点でレビューを受けるという点です。
コンサル以外の方と仕事をしていると、いきなり80点くらいまで持っていこうとする、もしくは、いきなり細かい部分をミリミリ作る場面に出会うことがあります。
手戻りになるリスクが大きいので、絶対にやめてください。
まずは、30点ほどで講師の方にレビューを受けましょう。30点の目安は、こんなイメージ・大枠・方向性で考えているというざっくりとした内容です。
診断業務でいえば、先ほどの1:報告のサマリをドラフトで書いてみて、イメージ合わせをします。
外部環境や内部環境分析でこんな結果になるだろうから、この辺の課題の優先度が高い。だから施策の方向性はこんなイメージで考えている。くらいのラフなイメージです。
ここで、重要な論点・ポイントのあたりを認識合わせしておくことで、大外ししなくなります。いわゆる、ちゃぶ台返しのリスクを抑えることができます。(それでも、分析した結果、仮説が外れるとちゃぶ台を自ら返さないといけない。。)
30点のあとは、ひたすら刺さる提案に向けて、コツコツと分析や提案作成を行います。ここでは資料はまだラフな状態でOKです。会話の中で言いたいことが伝えられる程度に資料にまとめて、60点レビューに進みます。
ここでは、資料は悲惨だけど、言ってる内容はまぁ的外れではないし、刺さる可能性のあるタネもありそうな状態を目指します。この時点で資料を作り込むと、資料作成に時間がかかり、肝心の提案内容が薄くなりがちなので要注意です。
そして、ここまで来てようやく資料作成を本格化します。フォーマットや言葉遣い、メッセージ、効果的な図表など資料の体裁を整えていきます。最後に90点レビューを行います。
これで、大枠のストーリーも大体いい感じ、刺さるネタも揃って、資料もそれなりにできている状態となります。
改めてお伝えしますが、いきなり60点や80点を目指さないように。必ず、30点のレビューを受けてから次に進めるようにしましょう。結果的に、手戻りが少ない効率的な仕事の進め方になります。
ある程度の時間的余裕
最後に、せっかく実務従事を受けるのであれば、ある程度投下時間は用意しておきましょう。
なんだかんだ、未経験の業界の場合、効果的な施策・刺さる提案をするために調べる時間が必要になります。
時間が少ない中、作業も慣れない、はじめましてのメンバーと提案を作っていくとなると、余計に時間がかかります。
合格後の猶予が許す限り、時間をしっかりと充てられる時期に受けることをお勧めします。
そして、絶対にリーダー・経営戦略・全体取りまとめを担当してください。学びの成長角度が全く変わります。
もちろん心身ともに負荷は高くなりますが、中途半端にきつくて学びが少し、であれば、めっちゃ大変だけど、めっちゃ勉強になった!の方が投資対効果が高いと感じます。ぜひ、騙されたと思ってリーダーを。
実務従事における指導とは
実務従事では、おそらくどの会社のものも講師役員の先輩診断士が指導員として帯同しているはずです。
彼らを使い倒した方が圧倒的に学びは大きいです。ポイントは大きく3つあります。
1:レビュー
基本的な活用としては、レビューしてもらうことです。
こちらが作成した資料をレビューしてもらい、考え方〜資料の体裁まで「こうした方がいい」という点をフィードバックしてもらいます。
最も王道の活用であり、基本的な動作なので、これは必ず行うようにしましょう。
いくら王道の活用とはいえ、こちらからレビューを依頼しない限り、講師側もレビューできませんので、ご遠慮なくどしどし相談していきましょう。
仮説が煮詰まった際にも壁打ち相手として活用する方法もあります。
例えば、こういう事実がありこう解釈したのだが、そこはもう施策打てないようなぁーというように、思考の壁にぶち当たる場面で意見をもらいましょう。
直接的な答えはもらえないと思いますが、ヒントになるような考え方をもらえる可能性があります。自分一人やメンバーと話すよりも効率的にタスクを進めることができる可能性が高いです。
2:過去の経験
過去の経験はぜひ診断士の知見を深める上でも、講師の方からヒアリングしておきましょう。
これは特に仮説が緩い初期段階で聞くとより効果的でしょう。
診断先の業界における外部環境分析の勘所・ポイントは?(例えば、一般的に仕入れ・市況・競合を調べても厳しい状況しか浮かび上がってこないが、どのような観点でポジティブな要素を炙り出すことができるか?とか。)
内部環境分析で情報が限られていて、ここまでしか言えなそうだが、こういう場合企業はどのような状況に陥っている可能性が高いか?
内部分析でこのような課題を抽出したが、このような場面で過去に刺さった提案や施策はどのようなものだったか?
このように質問することで、実務従事におけるアウトプットの品質を上げることだけでなく、今後診断士として活動していくにあたり、ノウハウ・知見を得ることができるでしょう。
3:プロジェクト事例
こちらは実務従事に直接は関わりのない項目かもしれませんが、ぜひ聞いてみましょう。
過去にどのようなプロジェクトに関わっていて、どのような成果があったのか。特に成果物の内容や品質について確認することで、どのような経験だったのか推測することが可能です。
また、そのプロジェクトにおける大変だった点や成果が上がったことを確認しておくと、自分の診断士活動の参考情報として活用できます。
コンサルタントの差別化ポイントは、業界やマーケットにおける動向を把握し、ベンチマークとなるやり方を知っていることです。ゆえに自分だけで全てを網羅するのではなく、周りの診断士仲間・ネットワークを活用してそれらの知識を補填する必要があります。
せっかくですので、講師がどのような業界・業種・案件に強いのか把握することで、将来的にも相談できる診断士仲間として認知もらえるようにしましょう。
実務従事の最終報告
必要なスキルを発揮し、講師から指導を受けて、最終報告を完成させます。
どのような実務従事であれ、最終作成物を提出もしくはプレゼンして実務従事完了となります。
2~3時間ほどの会議時間が設定されていることがほとんどで、会議の中で最終報告をプレゼンし、診断先企業から質問やフィードバックを受けて終了となります。
プレゼンテーション自体は、最悪書いてある内容を読み上げるだけでも十分(本当はダメですが、、)なので心配する必要はありません。とにかく、資料の品質を最大限あげることに集中して取り組んでもらえればOKかと思います。
最終報告で重要なポイントを1点について、補足で説明します。
最終報告では、質問やフィードバックを受けられると思いますが、ぜひしっかりと深堀り質問をして、次回以降の学びとすることが重要です。
最終報告では、数十ページの資料の中から、特に気になった場所が質問・フィードバック対象になります。
提案した分析・施策は、あくまで診断士側の仮説です。そこに対して、診断先企業がどう感じたのか?端的には、刺さったのか?イマイチだったのか?それはなぜか?しっかりと質問を受けつつ、消化できるよう診断士側からも質問をしておきましょう。
例えば「◯◯のような提案をもらったが、実際にそれは難しいと思う。」というフィードバックに対して、「なぜそうなのか?」「どういう角度で提案すれば、もっといい提案ができたのか?」について確認しましょう。
もしくは「◯◯の施策は、本当にその通りでやらないといけないと思っている。」という、提案に対してポジティブな意見に対して、「やろうと思っていたができていない事情はなにか?」を深ぼることで、より構造的な原因を知ることができるでしょう。
最終報告は作って終わりではなく、社長に明日から行動をしてもらうことがゴールです。最後まで目的を見失わずに、粘り強くコミュニケーションすることで、診断先企業にとっても価値を高めることができるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、私自身の実務従事の経験をもとに、求められるスキルやどのようなことを意識すると学びが大きくなるか解説してきました。
ポイントを獲得することはもちろん、ぜひ実務従事の場で診断士としてのスキルを伸ばしてください
それでは、また次回の記事で!


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