【必勝法】中小企業診断士の二次試験対策は設問解釈が9割

こんにちは、中小企業診断士のトキです。

私は令和5年度受験で、中小企業診断士試験に合格しました。

今日は、診断士試験の内、二次試験で最も効果があった対策方法についてご紹介します。

二次試験は、記述式の試験になるため、対策の仕方に正解がなく、準備が難しい試験です。

これから診断士試験を受験される方の参考になれば幸いです。それでは、どうぞ!

目次

中小企業診断士試験で最も効果のある二次試験対策

私が行ったなかで、最も効果があった二次試験対策は、「設問解釈」です。

一般的に、最も効果がある対策と言えば、「過去問を解く」ことですよね。これは、全受験生がやってるはずです。
しかし、合格する受験生と不合格になってしまう受験生に分かれますよね。一体、なぜなのでしょうか?

それは、過去問の解き方にあります。効果的に過去問を解いて、しっかり身に着けていく受験生は合格します。

そのための方法が、「設問解釈」になります。

過去問を解くと言われると、解いて答え合わせをしておしまい。残念ながら、これでは受かりません。
自分はそんなことしてないと心から言える受験生がどれだけいるでしょうか。それほど、過去問を解くという行為は人によってやり方が様々、程度もそれぞれでどこまでやるのかで差がついてしまいます。

しっかりと過去問を分析・研究し、本番での応用力を身に着ける必要があります。ただ解いて終わりではなく、設問からの連想 → 与件分から根拠の取得 → 文章への落とし込み。ここのプロセスを効率的に、効果的に行うことが大切です。

次のセクションから、より具体的に、そしてなぜ設問解釈が効果的なのか説明します。

「設問解釈」の効果

まず前提として、中小企業診断士の二次試験問題は、200~800字程度の記述式です。ある問いに対して、おおむね指定された字数通りに回答する必要があります。

まず、ChatGPTが答えた記述式の採点基準についてご覧ください。
※なぜChatGPTに聞くのか?等の疑問は、今回の趣旨とずれる為、本noteでは割愛しますね。

中小企業診断士の試験は、主催機関や年度によって異なる場合があります。しかし、一般的な記述式問題の採点基準に関する一般的な原則は以下の通りです:
1.問題理解とアプローチ:
提供されたケーススタディや問題に対して適切な理解があるか。
問題に対する戦略的なアプローチが示されているか。
2.専門的知識の適用:
中小企業診断に関連する理論や手法が適切に適用されているか。
学習した知識が問題にどのように関連しているかが明確に示されているか。
3.論理的構造と展開:
論文や回答が論理的かつ構造的に構築されているか。
アイデアや情報が論理的な流れで展開されているか。
4.解決策の提案:
問題に対する解決策が適切に提案されているか。
提案された解決策が実行可能かどうかについての詳細があるか。
5.具体的な例やデータの活用:
提供された情報やデータが適切に活用されているか。
具体的な事例やデータが分析に使用され、論理的な裏付けがあるか。
6.文章構造と表現力:
文章構造が整然としており、明確で理解しやすい表現がなされているか。
正確な文法や語彙が使用されているか。

これらの基準は一般的なものであり、具体的な試験の要件によって変更される可能性があります。

ChatGPT3.5「中小企業診断士の二次試験における、記述式問題の採点基準は?」に対する回答

表現として分かりやすくサマリすると、

  1. 設問に対して、答えるべき事項を答えているか?
  2. 一次試験や一般的な知識を使っているか?
  3. 設問に対して、答えるべきことに答え、十分な長さの記述があるか?
  4. 提案は実現可能であり、具体的か?
  5. 与件から根拠が拾えているか?論理的に考えて妥当か?
  6. 文章全体・個々の表現は適切か?(十分な長さの記述か?)

つまり、

「一次試験・一般的な知識と与件の情報を根拠に、設問で聞かれたことに対して、実現可能で具体的な提案を正しい文章で書けているか?」

という採点基準だと理解できます。

あくまでChatGPTに聞いた結果ですが、論理的に考えて非常に整合的であり、これ以上でも以下でもない採点基準だと納得できる内容かと思います。

そしてこのなかで最も重要な基準。
それは、「設問で聞かれたことに対して」になります。
なぜなら、いくら素晴らしい提案を書いても、聞かれてないことを書いてしまえば、0点だからです。

試験は、書いた言葉でしか評価されない世界です。聞かれたことに対して、まっすぐに答える姿勢が重要です。

だからこそ、中小企業診断士の二次試験において、もっと効果があり重要な対策は、「設問で聞かれたことに対して」答えるためのトレーニングである「設問解釈」になります。

この対策を後回しにして、他の対策をやるべきではないと考えています。

例えば、まずはテキスト系の参考書をまず読んで、一次試験をおさらいしようとか。

まずは二次試験がどんな試験か、どんなtips・テクニックがあるのか調べようとか。

断言します。どれも素晴らしい対策方法ですが、最初のステップは「設問解釈」一択です。

一次試験が終わってから。もしくは合格発表で一次試験合格を確認してから。二次試験に不合格となったその日から。
いろんな勉強のタイミングがあると思います。

しかし、どんな場合でも「設問解釈」を最初に行うべきです。

なぜなら、
「一次試験・一般的な知識と与件の情報を根拠に、設問で聞かれたことに対して、実現可能で具体的な提案を正しい文章で書けているか?」
に対して点数が与えられるからです。

「設問に対して正しく答えられているか?」
という当たり前のことが出来るようになる対策が必要になります。

それができるようになるトレーニングに最も多くの時間を割くべきです。

そして、「設問解釈」を行うことで様々な設問に対応できるようになります。
間違いない事実として、与件文は絶対に同じものは出ませんが、設問(特に、適切な解答パターン)は同じものが出ます。

「設問解釈」のトレーニングを行うことで、再現性の高い答案回答能力が身につくのです。

設問解釈を行う理由を理解いただけたでしょうか。

「設問解釈」のやり方

それでは、具体的な設問解釈のやり方を説明します。

  1. 設問を理解
  2. 設問を分析
  3. 設問分析結果を暗記

以上です。これから詳しく説明します。

設問を理解

Step1. 何が問われているのか確認

何について聞かれているのか確認します。これは、「聞かれていることに答える」ために絶対に必要になります。

課題を聞かれているのか?
施策を提案してほしいのか?
留意点を述べてほしいのか?

問題によって問われている内容は違いますので、まずはここをしっかり押さえるようにしましょう。
こんな当たり前のこと、という人に限って、聞かれていることと違う内容を書いてたりしますからね。十分気を付けてください。

Step2. 回答に必要な情報・条件は何か確認

Step1.で聞かれた内容に対して、どのような要素が答えに関係しそうか、仮説を立てます。
このステップが一番難しいと思います。

ここでの項目をもとに、与件文を読んで回答に使えるパーツを探してきます。この項目選定・条件理解の精度を高めることが、試験合格へのキーポイントであり、精度を高めるために設問解釈を行うとイメージしていただければと思います。

もちろんゼロから自分で考えるのではなく、基本的には設問に書いてあります。

あとは論理的に考えうる範囲の項目を気にしておけば十分です。

例えば。

A社はここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。 A社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外に、どのような点に留意して事業を組み立てていくことが必要であるか。80字以内で答えよ。

(平成25年 事例Ⅰ 設問1)

まず、Step1.として聞かれていることは、留意点。

そしてStep2.で回答に必要な情報・条件を確認します。

まず、留意点の例は設問に書いてある通り「新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと」のイメージ。

そして、条件としては、「A社のこれまでの成長を支えてきた事業の長期的な継続に必要な施策」。

ここから類推できることは、「既存事業の長期的に継続するための施策としてどんなことをすれば良いか、留意点として答える」ということ。

さらに次のステップの解説に移ります。

Step3. 使えそうな一般知識を書き留める

聞かれたことに対して、一般的に考えうる知識・情報は何か考えます。それらの情報が与件文に書いてある可能性が高いからです。

たとえ書いてなくても、与件文から回答を見つけられない場合に字数稼ぎとして記載することもできます。

先ほどの平成25年 事例Ⅰ 設問1の例にすると、「既存事業の長期的に継続するための施策」は、事例Ⅰとして人材・組織に関わる事例として聞かれていることを考慮し、

  1. 既存事業の組織活性化
  2. 外部ノウハウの利用
  3. 既存事業に関わる人材育成
  4. 新卒の採用と長期的目線での教育
  5. 既存顧客との関係性強化、維持

あとこれは原則なのですが、「A社の強みを生かす」という点はどのような設問でも考慮に入れるべき項目になります。

では模範解答を見てみましょう。

留意点は①既存製品の認知度維持と②既存顧客の満足度向上と固定客化。施策として①A社主導の宣伝広告を継続し②オペレーターの教育により顧客対応力を向上させる。(まとめシート流実況解説より)

この回答では、Step3.の#3と#5がヒットしましたね。

単純計算でこれで配点のうち、半分をゲットできる可能性があります。「設問解釈」しただけです。

もちろん与件文から適切な箇所を引用する必要はありますが、設問解釈の威力をイメージしていただけたのではないでしょうか。

設問を分析

続いて、どのような設問なのか分類・分析していきます。

Step1. 設問のレイヤー・タイプ

こちらは、有名な1発合格道場やまとめシートでも紹介されているので、ご存じの方も多いかと思います。

まず、その設問がどのレイヤー(観点)に関する問いなのか確認します。

レイヤーに関してはこちらのサイトを参考にしてみてください。

中小企業診断士試験 一発合格道場
2次プロジェクト!~【図解】事例Ⅰレイヤー&設問解釈編~ byまん | 中小企業診断士試験 一発合格道場 2次試験期最初の私の投稿は、私が事例Ⅰで使っていたレイヤーと、私が実際に行っていた設問解釈のプロセスについて図で解説します!※R3年事例Ⅰの設問解釈の前に区切りを入れ...

次にタイプですが、二次試験の設問は、だいたい何を聞かれているのかパターンが決まっています。

①情報整理:
SWOTや経営者が過去に何をしたのか等、与件文に書いてある情報をコピペするタイプ。合格には落とせない。

②過去の期待効果:
これまでの会社の取組や制度の狙いや効果を答えるタイプ。過去のことを聞いているので、与件文に書いてある過去の事実に加え、一般的な知識やフレームワークから回答する必要がある。

③今後の助言:
施策や戦略など、あるべき姿・行動を答えるタイプ。未来のこと聞いているので、これまでの状況を理解したうえで回答が求められる。

タイプを分類することで、何に気を付けて回答しなければいけないのか注意を払うことができます。


Step2. 設問に対する解答の軸

ここまで設問を整理・分析してくると、自ずとどのような回答が求められているのか予想することができます。

もしくは、どのようなことが与件文に書いてありそうか検討がつくようになります。

この解答の軸をストック・本番で瞬時に引き出すことが、合格への重要なトレーニングになると考えています。

例えば先ほどの過去問を例に考えてみましょう。

A社はここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。 A社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外に、どのような点に留意して事業を組み立てていくことが必要であるか。80字以内で答えよ。

(平成25年 事例Ⅰ 設問1)

こちらに対する解答の軸は以下です。

・<ここ数年で急速に>の背景は?
・何が良かったから<これまでの成長を支えた>のか?
・<新商品・新規顧客✖>の特徴は?
・「留意点は、」※新規以外
⇒既存顧客=満足度向上、関係性強化
⇒既存商品活用=A社の強み活用

どのような思考プロセスで解答の軸を記載したか、順番に説明します。

・<ここ数年で急速に>の背景は?
・何が良かったから<これまでの成長を支えた>のか?

設問がどのような状況・要素を指しているのか、正確に理解しておく必要があります。

また、留意点を答えるうえで、どのような状況にあるのか、過去どのようなことがあったのか参考にすることは、非常に重要なアプローチです。

まずは、設問に書いてある状況がなぜ起こっているのか、与件文から探す心構えをしましょう。

 ・<新商品・新規顧客✖>の特徴は?

先ほどメモしたように、今回の設問では、新規事業 vs 既存事業の対比が重要な要素になるはずです。

設問に書いてある状況を理解するという点で、新商品・新規顧客がどのようなもの・存在なのか理解しておく必要があります。

例えば、新規顧客に対して行った施策で、まだ既存顧客に対しては行ってないものがあれば、それが施策・留意点になる可能性がもあります。

あくまで設問解釈の文字通り、しっかりと設問の状況を理解することに努め、そのためにどのような情報を与件文に探しに行けばいいのか見極めるように心がけましょう。

・「留意点は、」※新規以外
⇒既存顧客=満足度向上、関係性強化
⇒既存商品活用=A社の強み活用

新規以外、というのは設問に記載のある重要な要素です。

つまり、新規顧客に関することを記述しても得点にならないよ、ということを教えてくれているのです。

そのような重要な解答の制約事項も、解答の軸に必ず含めるようにしましょう。

そこから一般知識を動員してアイディア出しした内容を、解答の軸としてサンプルで記載しています。

設問解釈のまとめ

ここまでみてきた通り、設問解釈とは、設問をよく理解し、どのような解答を作ればいいか考えることにほかなりません。

重要なポイントとしては、上記のことを与件文を読む前に行うということです。

先に与件文を読んでしまうと、余計な情報が印象に残ったり、どの情報にフォーカスして考えればいいかわからなくなってしまったりするリスクがあります。

与件文を読む前に設問解釈を行う、そして実際に解いてみて、答えを見ながら、設問分析をストックする。

この一連の流れが、私が考える中小企業診断士の二次試験で最も効果のある対策方法になります。

最後に、実際に私が整理したサンプルを掲載しておきます。

画像
設問解釈のサンプル

各項目は、これまで説明してきた通りです。

私は、Googleスプレッドシートに表を作って、ストック・更新・暗記を行っていました。

このやり方が100点満点ではないと思いますので、ぜひみなさんの手でブラッシュアップ、もしくはより良い方法があればフィードバックもらえると嬉しいです。

ここまで読んでいただいた方なら理解してもらっているとは思いますが、改めて設問解釈のメリットを整理してみます。

設問パターン・対応方法の理解が深まるので、解答スピード・精度が上がり、本番での得点率が高まる

二次試験で聞かれることのパターンが分かると、本番で聞かれそうな問題の予想が立てられます。

事例Ⅰなら、大体こういう質問来るよね、といった具合です。

実際に設問を一期一句に予想すること自体は難しくても、大体このようなことを問われると分かっている状態は心理的プレッシャーを下げる意味で非常に重要です。

本番での心理的ストレスもかなり軽減されることが期待されます。

また、解答スピードが格段に速まりますので、本番試験でのタイムマネジメントの上でも非常に有効な効果が期待できます。

設問に対する回答方法のパターンが分かる

解答のタイプや軸でみてきたように、二次試験の設問には解答パターンが存在します。

このような設問なら、このような答えを期待されている、というような部分ですね。

解答パターンが分かると、回答速度が上がり、試験時間を更に有効に活用できるようになります。

二次試験の難易度を高めている要因の1つは制限時間です。
80分のなかで、いかに正確に設問を解釈し、与件文を読み、適切な記述をするかが勝負の分かれ道です。

解答方法のパターン化は、試験に臨むうえで非常に強力な武器になります。

回答にどのような知識が必要か分かる

二次試験自体の制限時間とは別に、対策時間にも制限があります。

例年10月最終週が本番試験となるため、人によって準備期間の差はあれど、膨大な範囲の知識をゼロから勉強している時間はありません。

また何も意識せずに過去問だけ解く、を繰り返して身に付けるアプローチの場合、多くの勉強時間が必要になります。

ほとんどの人にとって、そのような時間はないはずです。

しかし、設問解釈で登場する解答の軸は何れも難しい内容・膨大な範囲の知識が必要なものではありません。

設問の文言に注目し、一般知識も使いながら、どのような要素を書けばいいのか予想しながら与件文に探しに行く。

例えば、人事施策といったら何か?のような基本的な事項は抑える必要がありますが、一次試験に合格してきた皆さんなら、一般的な知識の範囲かと思います。(一次試験で90点を取るために必要な知識範囲ではない、という意味です。)

    参考書

    一部、上述しているサイトも含まれますが、今回ご紹介した「設問解釈」をきちんと行うにあたって参考になるものをご紹介します。

    「まとめシート」流!ゼロから始める2次対策: 中小企業診断士2次試験対策 Kindle版

    まずは、「まとめシート」流の二次試験対策本。Kindle Unlimited会員なら無料で読めます。

    今回ご紹介した設問解釈も含め、どのように二次試験を解いていくのかリアルな様子を体験することができます。

    二次試験対策でマストで読んでおきたい本です。

    令和5年度版: 中小企業診断士2次試験 「まとめシート」流! 解法実況シリーズ Kindle版

    続いて、同じまとめシリーズの答案例シリーズ。

    各年度ごとに出版されていて、模範解答、そこに至るまでのアプローチを体験することができます。

    改めて読み返しても、ここまでレベルの高い解答を試験時間内に作り上げることは、不可能に近いと思います。
    (一般の人は、ですよ。)

    というか、そこを目指すことはあまり効率が良くないと考えています。0点から60点になるための勉強と、60点から80点になるための勉強では、後者のほうが圧倒的に時間投下が必要です。

    そう考えると、100点に近い答案を真似する、というよりは、「設問解釈」に必要な要素をパクる使い方がおすすめです。

    解答の軸思いつかないなぁ、といった場面でどのような要素に注目すればよかったのか、連想できればよかったのか参考にすることが可能です。

    このシリーズも本当にお世話になりました。

    中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案 エピソード17 (2024年版)

    中小企業診断士2次試験 ふぞろいな合格答案 エピソード16 (2023年版)

    ふぞろいな合格答案 10年データブック

    こちらは、対策本としては最も有名な本かと思いますが、ふぞろいシリーズです。

    模範解答・得点にカウントされるキーワードが掲載されていますので、こちらも設問解釈の強い味方として、非常にお世話になりました。

    あまり説明はいらない、不動の人気#1シリーズですね。

    ただ、やはり1冊だけ・1パターンだけだと解答に偏りがでる可能性やまったく当たらないリスクもありますので、先ほど紹介した「まとめシリーズ」と合わせてみておくのが無難かと思います。

    補足説明:解答の軸

    上記で説明していますが、改めて別角度から解答の軸について説明します。
    解答の軸を概要レベルと詳細レベルに分けて記載する応用編です。

    改めて、解答の軸とは、ある設問に対して、どのような解答を組み立てるか方向性を概要・詳細レベルで記載する欄になります。

    もう一度、以下の設問を解釈してみます。

    A社はここ数年で急速に事業を拡大させている。以下の設問に答えよ。 A社のこれまでの成長を支えた、健康食品の通信販売事業を長期的に継続させていくために必要な施策として、新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外に、どのような点に留意して事業を組み立てていくことが必要であるか。80字以内で答えよ。

    ヒントを拾っていくような作業をイメージすると、作業しやすいと思います。
    これまでの解説を踏まえて、解答の軸を記載してみます。

    「数年で事業を拡大」「これまでの成長を支えた」
    ⇒それぞれ、なぜ拡大/成長できたのか?
    ※おそらく与件にあるだろう。ないと、状況背景が理解できないので。

     「長期的に継続させていくために必要な施策として」
    ⇒なるほど、施策を検討してるのね

    「新商品の企画や新規顧客を開拓していくこと以外に」
    ⇒新規系はダメ

    「どのような点に留意して事業を組み立てていく」
    ⇒留意点を答えなければいけない=解答は「留意点は、」から始める。

      ここで、4つヒントを拾えました。
      解答の軸(詳細)に記載します。これは先ほど説明した通り、本番でそのまま解答準備用のメモとして活用できます。

      まず、これまで事業が成長できた要因を継続/強化していくことが良いだろう、と予測を立てます。

      一般的には以下のように考えるのが普通だといえます。
      ①新しいアイディアを試すよりも、過去の実績があるものを使いまわした方が成功確率が高い
      ②与件に成功要因の記載がある確率が高く、採点基準#4(以下)を満たす為。

        提案は実現可能であり、具体的か?

        (ChatGPTより導き出した採点基準#4)

        次に拾ったヒントより、「中長期的に事業拡大するための施策」を検討しているが、新規系以外でという条件。
        ということは、既存事業を拡大させるしかありません。

        ここまでをまとめると、

        既存事業拡大に向けた施策の留意点について過去の成功要因にならって答えるべき

        現時点で何が成功要因かは不明だが、既存事業の拡大時の留意点なので、一般的には以下予想される
        ①既存顧客との関係性強化で顧客維持すること
        ②過去に顧客に評価されたA社の強み・他社との差別化項目を活用する

          設問理解・分析を踏まえて、解答の軸(概要・詳細)にそれぞれ記載します。

          例えば、解答の軸(概要)は、「成功体験の活用」とします。
          この「設問解釈」をいくつかの設問でやると分かりますが、解答の軸(概要)はパターン化されてきます。
          (どちらかというと、パターンになるように整理していくに近いです。)

          解答の軸(概要)における、いくつか代表的な例を挙げます。

          • 事例Ⅰ:成功体験の活用、一般的なメリットデメリット
          • 事例Ⅱ:だなどこ、強みの活用、ジオ・デモ・サイコ
          • 事例Ⅲ:一次試験の知識、納期遅延のフレームワーク、IT化のフレームワーク

          次に、解答の軸(詳細)の記載方法です。

          こちらには、ここまで行った設問理解・分析内容を記載しておきます。
          キーワードベースで、解答の組み立てや与件探索に必要なメモ程度を残しておけばよいです。

          やり方が理解できれば、あとは事例Ⅰ~Ⅲの過去問10年分ほどを解いて、設問解釈のトレーニングを行います。

          具体的には、設問解釈しながら過去問を解く・答え合わせしながら設問分析・記録をストック。
          10年 x 4問で、事例毎に40問ほど行うと、かなり設問・解答のパターンが見えてくるかと思います。

          実際には、設問解釈だけ切り取ってやるでもいいですし、
          過去問を解きながら、最後に整理してやっていく方法でもよいと思います。

          何れも自身で思考を深められれば最高ですが、時間的にも難しいので、、、という場合は、
          過去問に対する解答を見て、ぱぱっと記載してしまって問題ありません。

          最後に

          この記事を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

          「設問解釈」
          シンプルで、強力で、最も効果が高い勉強方法だと思います。

          私自身は、二次試験は2回目で合格しました。
          1回目は事例ⅠとⅡで得点が足りず落ちてしまいました。

          敗因分析として、一次試験後から短い時間の中で二次試験対策を始めたのですが、最初に対策方法や一次試験のインプットからスタートし、時間をロスしたなと考えました。

          2年目は、1年目にインプットしていたこともありますが、アウトプットからスタートして、設問を中心に理解・分析することで、適切な解答パターンを導き出し、暗記することで、本番でも時間不足にならずに、適切な解答を組み立てられたのではないかと思います。

          中小企業診断士に挑戦しようとする多くの方に届くこと、そして効率的な受験勉強の助けになれば、本当に嬉しいです!

          それではまた次の記事で!

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